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クラクフ在住のNaraさんに聞く!海外移住のリアルとポーランド生活の魅力

Photo by Arek Kocik

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サクラちゃん

海外移住や海外就職に興味があるけれど、すでに経験した人から色々話を聞いてみたいな。

このような悩みを持っている読者のために、ポーランド在住のギタリストとして活躍中のNaraさんへインタビューをさせて頂きました!

日本からポーランドへ移住し、現在もポーランドでギタリストとして生計を立てているNaraさんへ気になる質問をどんどんしていきますので、二人の会話を覗くような感覚で楽しく、最後まで記事を読んでみてくださいね🐼

ポーランド在住ギタリストのNara Tetsuyaさん
インタビューされるNaraさんのプロフィール写真
Photo by Arek Kocik

ポーランド在住の日本人ミュージシャン、ギタリスト。ヨーロッパを中心に15か国以上でライブやフェスティバルに出演。

2023年にAcidSitterとしてシングル『Sweat Dreams / Fuck you putain!』をFuzzed Up & Astromoon Recordsよりリリース。同年11月にアルバム『Make Acid Great Again』をInterstellar Smoke Recordsよりリリース。

複数の音楽プロジェクトで活動しながら、映画音楽の制作にも携わる。

また、日本語教師としてポーランド、クラクフの名門ヤギェウォ大学の教壇に立った経験も持つ。

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目次

自己紹介とクラクフでの活動について

Photo by Edee Satova

サクライパンダ:今回のインタビューをとても楽しみにしていました!読者の皆様へ、自己紹介をお願いいたします!

Nara:こんにちは。2024年現在で、ポーランド在住9年となりました。ポーランドに興味がある方、移住を考えている方に何かヒントになるようなことがあれば幸いです。サクライさん、本日はよろしくお願いします。

サクライパンダ:よろしくお願いします!まず、クラクフに移住したきっかけを教えてください。

Nara:2015年の5月からクラクフに住んでいます。移住を決めたのはそれよりも2年ほど前の2013年で、当時日本で働いていた妻がポーランドへの帰国を考えており、僕も色々と人生を考えるタイミングだったのが重なって、ポーランドに住んでみようと思いました。

サクライパンダ:現在、クラクフではどのような活動をしているのですか?

Nara:主にしていることは音楽や日本語に関連した仕事です。

自分のバンドをいくつか掛け持ちしている他に、別のバンドやプロジェクトでも頼まれたらレコーディングやライブのサポートでギターを弾いたりしています。

日本語は、教える以外にも日本や日本語に関連した仕事を時々頼まれたりするので、スケジュールが合えばそういった仕事も受けています。

サクライパンダ:メインは音楽関連のお仕事、そして時間がある時に日本や日本語関連のお仕事をされているのですね。自分のパッションをメインの仕事にし、日本人としての強みも生かされていますね!

海外移住について

クラクフの旧市街

サクライパンダ:海外移住を決断した理由は何ですか?

Nara:祖父が肺炎で亡くなったのですが、危篤と回復を何度か繰り返したので、その度に「今夜が山だ」ということで親戚一同が病院に集まりました。

そこで久しぶりに会った同い年の従姉妹の近況などを聞いて、実際どうだったかはわかりませんが、僕には彼女がとても自由に、好きなように生きているように思いました。

人は必ず死ぬ、ということを否応なく意識するそんな状況で、じゃあ「どう生きるのか」を考えました。移住を決断したのは祖父が亡くなってからすぐあとです。

サクライパンダ:人によって移住を決断する理由は様々ですよね。移住にあたり、特に大変だったことは何ですか?

Nara:妻がポーランド人なので、ポーランド側での手続き等で困ったことは特にはありませんでした。

それよりも、英語もポーランド語も当時は全くできなかったので、そこは不安がありましたね。

サクライパンダ:Naraさんが移住した時はどちらの言語も流暢ではなかったのですね。私もポーランドへ移住した時は全く話せませんでした!(今もですけど笑)

ポーランド移住を考えている方は特に言語に関して不安な面があるかと思いますので、読者にとってこれはとても興味深いと思います。

Nara:教科書を買ったり、積極的に外国人と話す環境に出たりしてそれなりに勉強もしたのですが、なかなか上達する兆しが見えませんでした。

それならば、と思って逆に日本語教師養成講座に通って、みっちり勉強して修了証をもらいました。それが今の生活にも役立っていると思います。

サクライパンダ:ポーランドへ海外移住「する」「しない」理由をNaraさん目線で教えてください!

Nara:9年住んでみて思うのは、日本もポーランドも大きくは違わない、ということです。

移住してすぐは、人間関係の煩わしさや社会からのプレッシャーから解放されて身軽になったように思いましたが、生活を続けていればポーランドでも同じように人間関係の悩みもでてきますし、日本人というだけである程度目立つので、今は日本にいた頃と同じような状況です。

逆に、完全に遮断したい人にとっては、そうできると思うのでいいのかもしれません。

海外移住というと大きなことに聞こえますが、住む国が変わっただけで、多少違いはあるにしろ、日本でできなかったことがポーランドに来たから突然できるようになるわけでもないし、結局はその人次第だと思います。

ただ、見る景色や気候、人々のキャラクターはもちろん違うので、実際に来てみて住みたいと思えれば、しばらく住んでみたらいいと思います。ポーランドは比較的ビザも取りやすいと思います。

サクライパンダ:ポーランドやヨーロッパへ海外移住を考えている日本人に向けて、アドバイスはありますか?

Nara:直前の回答と内容が繰り返しになってしまいますが、基本、日本でできなかったことは海外ではもっとできないと思っておいた方が安全だと思います。

ただ、「日本人」というだけで有利になる部分があることも確かです。

過度な期待はしない方がいいと思いますが、チャンスもたくさんあるので、心配しすぎる必要もないと思います。

人生きっとなんとかなるので、大した理由や目的もなく無意味に移住して、しばらく住んでみてから何か始めてみる、というのも全然ありだと思います。

サクライパンダ:移住してみてから分かることや、思わぬチャンスや出会いに恵まれることもありますし、「とりあえず住んでみる!」は、私も同感です!

ポーランドの生活について

AcidSitterのバンド写真。Photo by Dua WDT
AcidSitterのバンド写真。Photo by Dua WDT

サクライパンダ:ポーランドでの生活の魅力は何ですか?

Nara:ここ数年急速に発展してきましたが、それでもまだまだ残る牧歌的なところが好きです。

春から夏にかけて昼の時間が長いのもいいですね。冬には大きくその反動がありますが。笑

音楽や演劇など、芸術が日本と比べて生活にもっと身近なのもいいですね。

サクライパンダ:今の6月の時期なんかは夜の10時くらいでも明るいですよね。

クラクフで特におすすめのスポットやイベントはありますか?

Nara:日本のような遊び方はできませんが、歴史的な建造物がたくさんあったり、自然が豊かなので

そういうのが好きな人は街をただ歩いているだけでそれなりに楽しめると思います。
Kopiec Krakusa Noc Kupały (クパラナイト)という夏至のイベントがあるのですが、それは場所も雰囲気も好きですね。

あと、僕のライブとか来ていただけるとありがたいです。ライブの前後に日本語でいっぱいお話しましょう。笑

サクライさんと一緒にビールを飲んだりラーメンを食べたりしたのも楽しかったです。

サクライパンダ:ビールとラーメン美味しかったですねー!Naraさんが所属しているAcidSitterのライブへ行った時は私が普段は聞かないロックミュージックだったので本当に衝撃的で、新鮮でしたし、刺激的でロックミュージックが好きになりましたし、何よりもとっっても楽しい時間を過ごせたので是非またライブへ行きたいです🐼

Nara:嬉しいです。写真もビデオもたくさん撮っていただいてありがとうございました。

サクライパンダ:ポーランドの文化や習慣で驚いたことはありますか?

Nara以前インタビューしていただいた時の動画でもお話ししましたが、「事後報告」と「トイレットペーパーの向きが逆」ですかね。笑

対談の時は「戸惑った」みたいに濁しましたが、今回ははっきり言います。

この二つには本当にイラついています。笑

サクライパンダ:ベトナム在住の日本人からもよく聞く「後から問題を報告される」という事後報告ですね笑

トイレットペーパーの事はあの後話してから意識するようになったので、見かけたら毎回「正しい向き」に戻しています笑

Nara:昨日の話ですが、仕事の合間を縫ってタクシーで歯医者さんに行ったら、2週間前に予約していたにもかかわらず、先生の都合でキャンセルされてしまいました。百歩譲ってキャンセルはいいにしても、せめて連絡して欲しかったですね。事後報告の亜種としてこんなことも結構あります。

そのためにわざわざ時間調整したこととか、タクシー代とかを考えて憤っていたのですが、一方で、こういうことが罷り通っているこの社会の大らかさはそれはそれでいいなと感じることもあります。

サクライパンダ:そんなエピソードも!予約した当日にキャンセルされる話はポーランドでよく聞きます🐼
クラクフでおすすめのレストランを教えて頂けますか?(できればドタキャンされないお店!笑)

Nara:カフェやレストランは本当にレベルが高くて、主要都市ならフラッと入ってもハズレはあまりないと思います。

フレンチやイタリアン、ハンバーガーの美味しいお店はたくさんあります。

せっかくなのでポーランド料理のお店をと思うのですが、

Kuchnia u Doroty』か『Marchewka z Groszkiem』がおすすめです。

ちなみに、僕がきた頃は日本食には本当に困ったのですが、ラーメン屋さんの数も増えたし、レベルもかなり上がってきました。最近は日本の食品も、ほとんど手に入ります。

サクライパンダ:ありがとうございます!クラクフへ訪れる際に行ってみますね。

ワルシャワとクラクフに住むならどちらがおすすめですか?


Nara:これは、、、僕がワルシャワに住んだことがないのでなんとも言えません。

ただ、ワルシャワには友達もいっぱいいますし、ライブでよく行くのですが、雰囲気が違うのは確かだと思います。

ワルシャワの方が人と人の距離感がもう少し広くてドライ、クラクフの方が田舎っぽいというか、繋がっている感じがします。

僕はクラクフに拠点ができてしまったのでずっとクラクフですが、東京の生活が長かったので、ワルシャワの距離感の方が心地いいです。

住んでみたらそんなことはないかもしれないですけどね。あくまでもイメージです。

最近ユニクロができたり、日本人もワルシャワが一番多いし、日本への直行便もあるし、

日本のように生活したい方はワルシャワ、もうすこしチルな方はクラクフがおすすめ、でしょうか。当然のことながら、ビジネスチャンスもワルシャワの方が多い印象です。

海外留学や海外就職を考えている人へのアドバイス

チームワークを発揮している生徒、または同僚

サクライパンダ:ポーランドへ留学を考えている人や海外就職を考えている人に向けて、どのようなアドバイスをしますか?

Nara:僕自身、留学目的で来たわけではないので、留学そのものに関してはアドバイスのしようがないのですが、留学目的でクラクフに来た人とは何人か友達になったので、その角度で何か言えることがあるとすれば、

留学中に日本が恋しくなったり、日本人と会いたければ、思ったより日本人は多いし、日本食も手に入るので安心してください。逆に、せっかく留学に来たのだから日本や日本人とは距離を置きたい、というのであればそれもできると思います。……こんなところでしょうか。

サクライパンダ:なるほどー!参考になります✏️ポーランドでの仕事探しのポイントやコツは何ですか?

Nara:僕は自分のビジネスをしているので、有益なアドバイスができるかわかりませんが、

来たばかりの頃、いくつかこちらの会社の面接を受けたりしたことがありました。

そのとき、「強気で行かなければならない」というのは学びました。

面接時や、給料の交渉などはもちろんですが、例えば応募条件がポーランド語B-1レベルだったとして、自分がA-2レベルでも、”問題ない”と言い切って面接には行く、という意味です。

そこでおとなしく引き下がるメンタリティでは、ポーランド生活はなかなか苦労するかもしれないですね。みんな、強いですから。

サクライパンダ:「みんな、強い」ですよね!欧州に長年住む日本人のメンタルは鋼だと思います🐼

ポーランドで働く上で、知っておくべきことや心構えは何ですか?

Nara:これも内容が重複しますが、強いメンタルを持つ、ということですかね。

どんな仕事をするかでも全然違うと思います。大企業で働いている人、IT系の人は基本的にはかっちりしている印象です。

でも、そうではない人もたくさんいますし、芸術家の人たちは時間感覚が大きく違ったりします。

いずれにせよ日本のようにはいかないので、自分でひっぱっていくか、どっしりと構えるか、都度合わせていくか、決める瞬間が来ると思います。

ポーランドでの音楽活動について

Tumbling Wallsのバンド写真
Tumbling Wallsのバンド写真

サクライパンダ:個人で始めた他のバンドについて教えてください!

Nara:現在はAcidSitter、Tumbling Walls、Sour Noirという3つのバンドでギターを弾いています。

以前から他のバンドやプロジェクトからお誘いがあったのですが、忙しくて受けられていなかったものがいくつかあって、それらを時間があるときでいいなら、ということで順にやらせてもらい始めました。

そんな感じで個人での依頼が増えてきたので、やっているうちにノウハウもわかってきたし、活動を通じて以前にはなかったコネや流通経路もできたので、自分主導のものもゆるーくやり始めた感じです。

こちらはスケジュールに縛られたりせずに、好きなように活動して、作品が溜まったらリリースする、くらいの軽い気持ちでやっていきたいです。

サクライパンダ:現在は3つのバンドで活動中なのですね!Naraさん主導のバンド活動も楽しみです〜!ポーランドでこのように日本人が活躍しているのを目の当たりにできるのは親近感を感じますし、応援したくなりますね📣

ならさんの活動中のバンドを詳しく見たい方は、是非Naraさんのインスタからチェックしてみてください🐼頻繁に更新されるストーリーを見るのも楽しいですよ〜! 

            

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サクライパンダ:新しいバンドの音楽スタイルやテーマは何ですか?

Nara:僕はギターしか弾けないのですが、別にギターは入っていなくてもいいし、音数が少ない、シンプルなスタイルでやりたいです。

スキルもある程度の基準を超えていればそこまで上手くなくてもいいし、メンバーも2人か3人で。そのほうが移動も楽ですし。好きな人と好きなことをやる、がテーマなのかな。

仕事と割り切ったギターを弾くこともあるので、自分の軸を忘れずにしっかり持つために。

サクライパンダ:わお!かっこいい!誰もが憧れる生き方ですね。

バンド活動を通じて日本人や世界へ伝えたいメッセージや目標はありますか?

Nara:日本の方からあたたかいメッセージをいただいた時など、本当に嬉しいですし、がんばるぞ!と思うのですが、あまり大それた主義や主張は、数年前からないですね。

海外ツアーや、大きいフェスへの出演、憧れのミュージシャンと共演したり、その都度感動していたのですが、慣れというのは怖いですね。少し寂しくもあります。

強いて言うなら、感謝していることを伝えたいです。本当に励みになっています。

サクライパンダ:Naraさんの髪型やファッションはとても個性的で「アーティストだな!」と感じさせられますが、髪型やファッションへのこだわりについて聞かせてください。

Nara:ありがとうございます。これは先の質問にあった、ポーランドでの生活の魅力の一つかもしれません。どんな格好で歩いていてもみんなあまり気にしないので(言わないだけかもしれませんが)、好きな格好ができますね。

髪は自分も他人も、男も女も、老いも若いも、長いのが好きです。みなさん、ぜひ髪を伸ばしてください。

服はどうだろう、基本的には黒いものが好きです。あと、30歳になった時に「短パンは穿かない」と決めました。

前回日本に一時帰国した時、免許センターへ行ったんです。

コロナや戦争の影響でなかなか帰国できないでいるうちに、運転免許を失効してしまっていて。

その日は雨が降っていて、湿気で髪がぐしゃぐしゃになって、「個性的」では済まないような感じになってしまって。

平日の昼にそんな格好で「免許を失効したので手続きをお願いします。」と言ったとき、さすがにまわりの目が冷たかった気がします。

サクライパンダ:たしかに日本にいる時の方が、服装や髪型は私も気にしてしまいます💦

ノースリーブとか露出度高い服を日本で着るのはいまだに抵抗があります(着ますけどね)。

Nara: 着るんですね。笑 ロックだぜ。

今後のポーランドでの活動や将来のビジョン

サクライパンダ:今後の活動予定やプロジェクトについて教えてください。

Nara:近々では、7月にクロアチアのBear Stone FestivalにAcidSitterで出演するのと、クラクフで個人名義で少しジャズっぽいインプロセッションに参加します。

クロアチアへ行く途中でコシツェ(スロバキア)と、ウィーンでもライブをします。7月下旬にはドイツからもオファーが入っているそうです。

発表はまだですが、9月に、ある街の中央広場でのコンサートも決まっています。

あとは2つのバンドでそれぞれアルバムをレコーディングする予定でいます。

いくつかのバンドからギターを弾いてもらえないかという話ももらっているので、スケジュールや条件が合えば、そういった活動も今後増えていくかもしれません。

今までとはまた違ったジャンルの音楽の依頼もあって、現在それに取り組んでいます。そちらも今マスタリングしている段階なので、もうすぐ発表できそうです。

サクライパンダ:予定が詰まっていますね!

色々なイベントを予定している中ですが、クラクフでの今後の目標や夢をお伺いしてもよろしいですか?

Nara:もう少しポーランド語の勉強を頑張ろうと思います……。

サクライパンダ:共に頑張りましょう!笑

コラボしてみたいアーティストやバンドはいますか?

Nara:自分がリスナーとして今聴いている人たちや、学生時代に聴いていたような人たちと何か一緒にできたらいいですね。

クラクフは日本のアンダーグラウンドシーンのレジェンドたちも結構きてくれるので、お知り合いになれる機会も多くて嬉しいです。

最近、日本人のミュージシャンの友人も増えてきたのですが、日本語で音楽の話ができるのが本当に楽しいです。

これからもジャンルや年代を問わず、広く交流できたらいいなと思っています。

サクライパンダ:本日はありがとうございましたー!!これからのNaraさんの活躍を応援しています🐼📣またクラクフに行く際や、ライブに行ける機会がある際は、是非行かせてくださいね。

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